THE ZAKKI

ザッキ

ノートまとめ:行動分析

 タスクを片すのに必要な時間を浪費する理由にも様々なものがあるが,中でもそれは目的と異なる行動を遂行することによるところが大きい。

 行動とは何か。行動を研究対象とした心理学である行動分析においては,概ね行動とは「死人にはできないこと」と定義され,主体の身体を含む環境が,主体の変化により変化する一連のプロセスとして捉えられる。行動による変化を行動の「随伴性」と呼ぶ。


 行動は先行環境(Antecedent)→行動(Behavior)→後続環境(Consequence)という時間的な流れの中に常に位置付けられ,先行と後続を比較した際の変化によって調整される。この型にはめて行動を分析することをABC分析と呼ぶ。
 
 例えば,何かしらの発表をしている場面を思い浮かべてみよう。(勿論そうでない人もいるが)発表者は概して,聴衆の内何かしらの反応(頷く,視線を向けるなど)を見せる人の方にばかり向きがちである。これはABCの枠組みで捉えると

A:聴衆の反応がない
B:ある聴衆を見る
C:聴衆の反応がある

という流れとなる。発表者は「ある聴衆を見ることにより聴衆からの反応が生起する」ためにこの「ある聴衆を見る」行動を繰り返すのである。この「聴衆の反応が生起する」ことが行動の随伴性である。

聴衆の反応のように,対象行動の生起する頻度を増加(強化)させる事象を「強化子」,その反対を「弱子」と呼ぶ。たとえば,見ることによって聴衆の顔にしかめ面が浮かび,その聴衆を見る頻度が下がる(弱化)なら,このしかめ面は弱子である。

また,この随伴性は,聴衆の反応が「ない」から「ある」の変化である。このように,「ない」が「ある」に変わる変化を「正の随伴性」と呼ぶ。逆に,「ある」が「ない」に変わることを「負の随伴性」と呼ぶ。

頻度を変える結果と変化の種類により,ABC分析は2×2=4種類のカテゴリを持つ。「正強化」「正弱化」「負強化」「負弱化」である。以下に例を挙げると,

正強化:掃除をするとお小遣いがもらえるので,自発的に掃除をするようになった。
正弱化:騒ぐと怒鳴られるので,騒がないようになった。
負強化:ゴミを出すと部屋からゴミ袋が消えるので,自発的にゴミを出すようになった。
負弱化:酔って外に出ると落とし物をするので,酔ったまま外に出ないようになった。

さて,上記の例からわかるように,我々が無限にツイッターを見るような悪癖を無くすためには,弱化が起こることが必要である。弱化は別名「罰」とも呼ばれ,そのとおり行動の主体にとってネガティブな影響が与えがられることで行動頻度が下がる過程である。

悪癖を良い方向に修正する,つまりある行動の頻度を下げるには,はたして罰を受け続ければ良いのだろうか?そうではない。別の選択肢がある。

それは消去と呼ばれるプロセスである。消去は「ある行動の正/負強化からの消去」という形で2つの段階を踏むプロセスだ。簡単に言ってしまうと,消去とは「強化子を与えないことで行動頻度を下げる手段」である。

例えば,Twitter依存に関する消去の例を見てみよう。Twitter依存をABC分析すると,

A:FFの反応が認識できない
B:tweetする
C:FFの反応を認識できる

という正強化の流れを踏む。ここにおいて強化子は「FFの反応」であり,消去はこの「FFの反応」を与えないことでB:Tweetする の頻度を下げるのである。

しかし,FFの反応が得られないと「かまってちゃん」のようにむしろ過剰にTwitterをしてしまうのではないだろうか。当然,そのような現象はTwitterによらずあらゆる行動について想定される,行動分析の射程範囲に入る現象である。

一般に,消去直後には行動に次のような変化が生じる。
・消去バースト:消去直後の急激な反応頻度・反応強度の増加(FFが黙ると過激な内容の連ツイをする)
・消去誘発性攻撃行動:強化子がなくなることに対する情動的な反応(「みんな私のこと無視してるんでしょ!」)
・消去誘発性行動変容:強化子がなくなることで別の方法によって強化子を得る新たな謎の行動が形成される(新たなFFを獲得するためのフォロ爆など)


これらは消去のデメリットのように思われるが,実は人間が対象の場合,かなりそれを低減することが出来る。それは,「消去の背景を知っておくこと」である。人間は強化子が出ない理由を知っておくことにより,動物と動物的な人間よりもスムーズに消去を行うことが出来る。

追記:ちなみに消去は罰よりも優れた手段なのかということに関しては,罰の次の問題点を見てほしい。

①一時的な効果しかなく(罰がなくなれば行動がまた出るため),罰を継続するコストが高い
②強い情動反応を引き起こす
③その状況からの回避・逃避行動が生じる
④主体の活動が全体的に不活発になる

上記のような理由から,消去の方が楽なのである